・JR大森駅より
森ヶ崎行きバス(約10分)
北糀谷バス停下車(徒歩2分)
・JR蒲田駅東口より
森ヶ崎行きバス(約20分)
北糀谷バス停下車(徒歩2分)
医院名 |
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医療法人社団 原口小児科クリニック |
院長 |
原口 道夫 |
住所 |
〒144-0032 東京都大田区北糀谷1-11-8 アルトT 1F |
診療科目 |
小児科・アレルギー科 |
電話番号 |
03-3742-1517 |
その他 |
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喘息の治療は一昔前とはまったく180度と言っていいくらい変わってきています。
薬物療法は進歩しても喘息の治療はお薬だけの治療では不十分で家庭内の環境整備や鍛練なども重要です。
日本小児アレルギー学会の小児喘息治療のガイドラインを基本に最新の研究成果もふまえて、最善の喘息治療を提供したいと考えております。
喘息などのアレルギー疾患は根気強く治療を続けていただくことが大切ですが、そのためには病気と治療についてよく理解をしていただくことが必要だと考えます。
外来でいつもお話していることをQ&Aの形式にまとめてみました。
【Q&A一覧】
A 昔は喘息は気管支の周りの筋肉が収縮して気道が狭くなり、そのために空気が通りにくくなり、ゼイゼイして苦しくなりますが時間が経つと自然にまたは薬によって元の正常な気管支に戻る病気だと考えられてきました。(気管支の模型の写真の1→3→1)
しかし、現在では、発作がおさまっても、元には戻らず慢性の炎症が長く続き、(気管支の模型の2の状態にあたり、自分では苦しくないです。)段々と気管支粘膜の組織に変化が起こり、元に戻りにくくなってくる病気で早期にしっかりと治療することが大切な病気だと考えられるようになってきました。
特に子供の喘息は大人になったら治るから余り薬に頼らずに、心身を鍛えて喘息に負けないようにしようというような一見正論のようにも聞こえる精神論に近いことをよく言われてきましたが、発作を放っておくのはよくありません。
2の状態を治療するのが一番大切です。
①正常な気管支の状態
②慢性の炎症が続いている状態
③発作が起こって、空気の通り道が狭くなって、ゼイゼイしている状態。 苦しいです。黄色いのは痰です(なかなか厄介です)。
A 喘息性気管支炎というのは病名としては望ましくないという意見もありますが、実際には臨床的には便利なのでよく使われています。
乳幼児は気管支がもともと細く、ウイルス感染などで喘息でなくてもゼイゼイすることがよくあります。しばらく、ゼイゼイを繰り返すけれども治ってしまうお子さんが沢山います。これは喘息ではありません。
乳幼児がゼイゼイしても、本物の喘息もあればそうでないものも含まれていますので、喘息性気管支炎という診断名で経過をみる事が多いのです。
しかし、日本では3回以上間隔を空けて、ゼイゼイを繰り返す場合には広い意味の『喘息』として、発作を予防していくことが薦められています。
A 小さいお子さんはウイルス感染などでゼイゼイすることが多く、ゼイゼイしたからすぐに喘息というわけではないということはこれまでもお話ししたとおりで、乳幼児に一度聴診器を当てただけですぐに喘息だというのは絶対に不可能です。
しかし、繰り返す場合には注意が必要です。症状が続けばお薬を続ける必要も出てきますがまず家庭環境に注意する必要があります。
特に家の中で煙草を吸う人がいないでしょうか。換気扇の下や他の部屋でと煙草を吸うというのは気休めにすぎません。家庭内の禁煙がぜひ必要です。
これだけでもゼイゼイは半分以下になります。ただ心配するより、まずできることをやることです。後はまた外来で相談しましょう。
A 喘息の治療は予防に尽きるのですが、お薬による治療だけでは喘息はよくなりません。
喘息治療の三本柱は
です。どれが欠けても喘息の治療はうまくいかないのです。苦しいのを我慢して体を鍛えても喘息はよくなりません。Q1でもお話ししたように、発作が収まった後、すぐに正常な気管支に戻るわけではなく、慢性の炎症が続きます。発作の時だけでなく、この慢性炎症状態を治療する事が大切です。
慢性炎症状態が長く続くと気管支粘膜に変化が起こり、段々元に戻りにくくなってしまいます。
A 発作で狭くなった気管支を広げて、発作を楽にする薬(気管支拡張剤)と気管支の炎症を抑え、発作を予防していく薬に大きく分けられます。
これまで強調してきましたように、発作を楽にするだけでなく、炎症を抑えて発作を予防していくことが大切で、これには世界中で吸入ステロイド薬が最も推奨されています。しかし、小児では吸入ステロイド薬まで使用しなくても抗ロイコトリエン剤(オノン、シングレア、キプレス)などでも十分発作を予防し、炎症をコントロールしていける場合も多く、状態に合わせて使用します。ただし、吸入ステロイド剤が必要なのに使用開始が2年以上遅れると吸入ステロイド剤を使用しても適正に使用した人に比べてその効果は追いつかないという研究はよく知られており、必要になったら重くなる前に開始することが重要です(喫煙やペットの飼育など家庭内の環境の見直しも必要です)。
発作を楽にする薬は気管支拡張剤ですが、飲み薬と吸入薬があります。
テオフィリン製剤(テオドール)という内服薬は気管支拡張作用もありますが、抗炎症作用もあり、発作の予防にも使われます。気管支拡張剤は発作は楽になりますが、炎症を抑える作用がないため、単独で長期に使うことはしません。最近よく使われるホクナリンテープなども気管支拡張剤で炎症を取る作用はないので、喘息を治す薬とは言えません。
A ステロイドという名前で心配される方も多いかと思いますが、ステロイドの内服薬や注射薬と違って吸入ステロイド薬は安全に使用でき、最も有効な喘息治療薬です。慢性の気管支の炎症状態を治療する事が最も大切なことはこれまでにお話してきたとおりです。もちろんいい薬だからといって大量に使うと副作用も出ますし、やたらに増量しても効果は頭打ちになってしまいます。ガイドラインに推奨されている吸入量は安全に使用できます。
確かに吸入ステロイド薬はよく効きますが、吸入ステロイド薬だけ使用していれば良いというのではありません。
家庭内で煙草を吸う人がいたり、動物を飼っていたりしてダニが沢山いるような環境では治療効果も上がりません。また、よくあることですが吸入の仕方がいい加減だと当然効果が期待できません。
A 水泳で喘息が治るわけではありません。発作を起こしにくい運動だから薦められるのです。運動で起こる発作を運動誘発性喘息といいます。
上手に発作を予防して運動すれば喘息児でもほとんどのスポーツは可能です。オリンピックの選手や有名なプロスポーツ選手のような高度な運動をする人も喘息であったり喘息だった人も沢山います。スポーツをしたり体を鍛える事は喘息の治療の上からも健全な心身の発達の上からも大切なことです。
喘息だからすぐスイミングスクールに通わなくてもまず家庭でできる鍛練として入浴後の水かぶりの習慣をつけるのもよいと思います。まず最初の日は膝まで、次は腰まで、そして肩までと段々と慣らしていくのです。暖かい季節から始めると楽にできます。おススメです。
A 運動によって起こる発作は子供の生活に大きな影響を及ぼします。運動誘発性喘息は重症な人ほど起こしやすいですが、軽症の人でも起こします。他の原因によって起こる発作と違って、ゼイゼイしてきても、しばらく休んでいると自然に楽になってくることが多く、苦しい時には無理せず早めに休むようにします。10分から15分くらいで楽になったら、また運動を続けることができます。今度は前より、発作が起こしにくくなっています。つまり、運動誘発性喘息には慣れの現象がみられるということです。
マラソンなどでも途中で苦しくなったら、無理せず楽になるまでしばらく休むかゆっくり歩くようにするとまた、走り続けられます。順位よりも完走を目指していくようにすると喘息児も学校のマラソン大会などにも参加できます。
また、準備運動をしないでいきなり走り出したりすると発作を起こしやすいのですが、軽いランニングなどの準備運動をあらかじめやってから、徐々に運動強度を上げていくと、発作を起こしにくくなってくるのです。つまり、運動誘発性喘息にはウォーミングアップ効果があるのです。
上手に発作をコントロールして、むしろ積極的に運動をしていくことは喘息の治療のうえからも意味がありますし、本人に自信を持たせることにもなります。
ここで気をつけなくてはいけないことは小学校も高学年ぐらいになってくると少しぐらい苦しくても人前で自分から言わない事が多く、指導者の人に様子がおかしい時には早めにしばらく休ませてもらうようお願いしておく事です。
こんな時には背中を耳にあててみるとゼイゼイが聞こえることが多いものです。もっとも、野球やサッカーなどの指導者はもともと体育会系の人が多いので、「お母さん、そんなこと言っているから、喘息が治らないのですよ!」などと逆に言われてしまうかもしれません。そんな時は私が手紙を書きます。もしくは、このホームページを見るように勧めてください。
A 確かに、そうですよね。しかし、喘息などのアレルギー疾患の重要な原因であるダニは高温多湿の日本では繁殖しやすく、やはり対策が必要です。
ダニといっても、沢山の種類があって、血を吸ったり噛み付いたりするダニではなくて、コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニといった目に見えないチリダニの死骸や排泄物がホコリに混ざっていてアレルギーの重要な原因となっているのです。
家のホコリ1g中のチリダニ数を100匹以下にすると喘息発作の軽減が期待できます。さらに重要なのは喘息発作だけでなく、慢性炎症状態を治療する事が大切だということは再三繰り返してきましたが、慢性炎症状態はダニによるアレルギー性炎症が重要な原因となります。
ダニ対策は喘息の症状だけでなく、気管支の慢性炎症状態の改善も期待できます。ダニ対策といっても、毎日家の隅から隅まで掃除するのではなく、重点的に効率的に行います。外来でお渡ししてる環境整備のパンフレットを参考にしてください。
寝室、特に寝具を重点的に対策を行うというもので、大阪医大小児科のアレルギーグループが西宮市の衛生局と協力して、実際にモニター家庭のダニを測定しながら実施した実績と裏付けのある掃除メニューです。
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以上のような方法でホコリ1gのダニを100匹以下に減少させられます。
家族と専門医が一緒に作った 小児ぜんそくハンドブック2008
さらに大切なのは家庭内での喫煙は喘息児のいる家では厳禁です。換気扇の下で吸っているというのは気休めでしかありません。換気扇では煙草の煙のほんの一部しか換気されないのです。どうしても吸うというのなら、ホタル族(家の外でタバコを吸う)です。
A 喘息はなかなか治ったと言い切れないため、一般には治癒という言葉は使わないで、寛解という言葉が使われます。治らないようでがっかりされるかもしれませんが、発作がなく、普通の快適な生活を送れるようになるのに、そんなに時間はかかりません。大人になると喘息は一般に治らないものと考えられますが、どこからどう調べても治ったとしか言えない方も、少なからずおられるのも事実です。治ったとしか言えない人達を調べた研究もありますが、そういう人達は発作の程度によらず、慢性の炎症状態を長く放っておかないで治療した人達なのです。昔はよく子供の喘息は大人になったら自然に治るから余り薬に頼らず、体を鍛えて喘息に負けないようにしなさいとよく言われたものです。しかし発作を繰り返していると気管支の粘膜に変化が起こって元に戻りにくくなってしまうということは、これまでも何回もお話してきたとおりです。
確かに子供の喘息は自然寛解する傾向はありますが発作を繰り返したり、不十分な治療では治りにくくなってきます。
↑お薦めです!!